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商店街がショッピングモールに負けるのは「組織力」の違い!シャッター街になる前にやるべきことは?

近頃、地元の商店街に活気がない・・・
近くに大きなショッピングモールができて、地域の商店街が廃れてしまった・・・
車社会の対応できなくなって、近所の商店街はさびれてしまった・・・

そんな話をよく耳にします!

しかし・・・
商店街に人が集まらないのは、本当にそれだけが理由なのでしょうか?
そして、
商店街が衰退していくことは、「しょうがない」ことなのでしょうか?

ちゃぼけん

いいえ、そんなことはありません!

商店街がショッピングモールに負けてしまう決定的な理由・・・
それは、
『組織力』の違いにあります!

地元の商店街が組織力を身に付ければ「ショッピングモールに負けない」
いや、「ショッピングモールよりも魅力的な場所」にすることができるんです!

それでは、早速見ていきましょう!

7割の商店街が衰退している!?

現状の代表的な実態調査である、
中小企業庁による「商店街実態調査報告書」をみると、
全国の商店街のなんと7割近くが、
「衰退している」「衰退の恐れがある」と回答しています。

反対に「繁栄している」「繁栄の兆しがある」と回答しているのは、
たったの5%未満しかありません。

また、商店街の空き店舗の増加も近年問題視されており、
平均空き店舗率は年々上昇傾向にあり、令和3年時点で14%近くもあります。

商店街にある店舗のうち空き家の数が10%以上ある場合は、
来街者に‟衰退している“イメージを与えるとされており、
この空き家率が10%以上ある商店街は、
なんと全国の商店街の43.3%になるという調査結果になっています。

いわゆる‟シャッター商店街”が全国に約半数ある状況であり、
この数は今後さらに加速度的に増えていくことが予想されます。

商店街の最大の弱点は「組織力の脆弱さ」にある!

ではなぜ、
こんなにも多くの商店街は衰退の危機にあるのでしょうか?

そもそも商店街は、個々の小売業者が自由な活動を行うなかから、
結果的に特定の「場所」に焦点が集まる形で、
いわば自然発生的に形成されるものです。

たしかに、
商店街には組合や商店会などの「組織」は結成されますが、
それはあくまでも、個々の独立した商店が、
対等な関係のもとにまとまっているだけで、
商店街組織には、それほど大きい権限はありません。

それぞれの商店についても、
たまたま同じ場所に立地しているというだけで、
業種や規模から、経営の意欲、能力、資源に至るまで、
大きなばらつき
がみられるのが普通です。

つまり、商店街というものは、
「組織」としての活動があまり得意ではなく、
利害の調整が難しい性質
を持っています。

このことは、商店街の盛衰が、
協調に基づく計画的な管理・運営よりも、
競争”という原理に大きく左右されることを意味しています。

個々の小売業者が、
自分の店の利益を最大化するべく競争を展開することが、
結果的に、商店街全体の魅力を高めたり、
あるいは逆に、魅力の乏しいものにしたりするのです。

商店街の盛衰をもたらすメカニズム

商業論・流通論においては、
こうした‟競争”を通じて、
うまくいく局面を「拡大均衡モード」、
うまくいかなくなる局面を「縮小均衡モード」と呼び、
商店街の盛衰をもたらすメカニズムについて、次のように整理しています。

たとえば、
人通りが多い立地には、自然と店舗が集まってきます。

すると、店舗間の競争が激しくなりますが、
やがて価格だけの競争には限界が訪れるので、
商品やサービスの差別化を図る形で非価格競争が生じることになります。

果物屋を例にとると、
定番品を安くし続けても店の経営が苦しくなる一方なので、
A店はメロンに力を入れ、
B店は特産品を充実させようとする、といった差別化が起こるわけです。

これは結果として、商店街全体として見ると、
多様で豊富な品揃えを実現することになるため、
さらに多くに消費者を惹きつけることになって、
そのことがさらなる小売店の出現を促すこととなります。

すると競争がさらに激化して・・・、
という形でどんどん好循環が起こります。

この好循環が続く局面が「拡大均衡モード」です。

逆に、
たとえば郊外に大型店が出店するなどして、
街や店に来る客が減ると、事業意欲を失う店が出てきて、
商店街全体の足並みが乱れます

同時に、意欲的な店舗は売り上げの拡大を図る中で、
売れ筋や定番商品に絞り込む動きを見せるがゆえに、
各店が無難で似通った品揃えになってしまうという問題も起こります。

果物屋の例で言えば、
特産品ばかりを扱っていても、
それだけでは店の経営が苦しくなるばかりなので、
定番品を充実させようとするわけです。

これは結果として、
商店街全体としてみると、
魅力の乏しい品揃えになってしまうということにつながるので、
客足がさらに遠のき
空き家も生じてしまい、
ワンストップ・ショッピングの利便性も提供できなくなります。

するとさらに消費者が足を運ばなくなり、
さらなる空き店舗の発生につながり・・・、
という形でどんどん悪循環にはまってしまいます。

この悪循環が続いてしまう局面が「縮小均衡モード」ということです。

商店街がショッピングモールに負ける理由!

このように、
商店街の盛衰が、競争の原理に大きく左右されるのに対し、
同じ商業集積の中でも、
例えばショッピングセンターにおいては、
計画的な管理・運営が大きな役割
を果たします。

ショッピングセンターに比べると、商店街においては、
ひとたび「縮小均衡モード」に入ったしまった場合に立て直しが難しい反面、
「均衡拡大モード」に入ったときの柔軟な対応には目を見張るものがあります。

これこそが、商店街の特長であり、弱点でもあるわけです!

商店街はこのメカニズムを利用して、
まちなかの人口が増加していく経済成長期には大きく発展していきました。

しかし、
まちなかの人口が減少していく現代において、
ひとたび負のスパイラルに陥ってしまった商店街は、
衰退の一途をたどってしまう
ことになります。

スケールメリットを活かして経済効率を重視しているショッピングモールに、
一度でも顧客が流れ込んでいってしまっては、
もはや零細小売業が集まっただけの商店街では
太刀打ちすることはとても困難なのです。

商店街再生には「組織力アップ」が必要不可欠!

ではどうやって、
衰退してしまった商店街を再生することができるのでしょうか?

衰退している商店街が、
ショッピングモールに負けないようにするためには、
兎にも角にも「組織力を向上させる」ことが重要になります。

すなわち、
商店街全体をマネジメントできる組織が必要である」ということです!

日本の中では数少ない、商店街再生がうまくいっているところでは、
ほとんどこのような組織があり、商店街全体を計画的に管理・運営しています!

私が商店街再生を実施するときも、多くの場合は、
「まちづくり会社」を立ち上げ、
まちづくり会社が商店街でテナントミックス事業を行っています。

テナントミックスとは、
簡単に言うと、「商店街の空き店舗に必要な業種の店舗を誘致してくること」です。

「商店街実態調査報告書」によると、
空き店舗対策をしていない商店街が6割、
所在地域にまちづくり会社がない商店街が7割、
さらにテナントミックスを実施していない商店街がなんと8割に及んでいます。

「取り組んでいない理由」として多く挙げられているのが、
「実施できる人材がいない」というもので、
やはり商店街の組織力としての弱さを伺わせる結果となっています。

日本の商店街が衰退していくのは、
「ショッピングモールの出現」や「モータリーゼーションの進展」以上に、
商店街そのものの‟組織力の弱さ”に原因があるのです!

日本全国の商店街を調査に訪れて感じるのは、圧倒的な‟人手不足”です。
例えば、イベントを行うにしても、
商業者の誰かのボランティアに依存せざるを得ない、ということが多く、
イベントを行うと業務が増えると嫌がる商店主も多いです。

だからこそ、
商店街全体をマネジメントできる「まちづくり会社」のような組織
必要となってきます。

また、「まちづくり会社」がテナントミックスとして、
土地や空き店舗を管理・運営し、
それを意欲のある若者に貸し出すことは、
商店街再生においてとても有効な手段なのです。

日本にはかつて、
中心市街地活性化のために導入された‟まちづくり会社”が多数存在していましたが、
その機能を十分に発揮しないまま2006年の「まちづくり三法の改正」で、
事実上その位置づけを失いました。

そのため、
「まちづくり会社は中心市街地活性化や商店街再生に寄与していない」
という評価が多いですが、
それはだた急いで組織を立ち上げただけに留まり、
まちづくり会社の中に「商店街全体をマネジメントできる人」が不在
であったことに原因があります。

商店街再生がうまくいっているイギリスの地域では、
TCM(タウンセンター・マネジメント)という組織が存在しています。
アメリカなど他の国にも同様な組織は存在しています。

日本でも商店街再生がうまくいっている地域では、
このような組織と同様の動きを「まちづくり会社」などが実施しているのです。

すなわち、商店街再生を行うには、
「商店街全体をマネジメントできる組織が必要不可欠」
ということなのです。

これによって、
「縮小均衡モード」から「拡大均衡モード」へ転換を図ることができ、
商店街を活性化させることができるのです。

重要なのは「商店街全体の利益」につながるかどうか

商店街全体をマネジメントする上で重要な考えは、
個々の店の利益のみを考えるのではなく、
商店街全体としての利益になるのかどうか」を考えることにあります。

たとえば、商店街でイベントを実施したとき、
イベント自体は赤字であったとしても、
そのイベントで人が集まることで、
商店街の宣伝になったり、個々の店の売上に繋がるのであれば、
それは成功と言えるかもしれません。

同じような考え方をすれば、
商店街の中にまちづくり会社が運営するカフェをつくり、
格安で飲み物を提供したり、商店街で買ったものは飲食自由にしたり、
休憩のみでもOKにしたりすることで、
たとえそのカフェ単体では利益が出なくても
商店街に人が集まり、周辺の店舗の利益が上がるのであれば問題ない
という考え方もできます。

また、店舗だけでなく、
商店街の中に図書館や自習室、コワーキングスペース、
保育所などの‟人が集まる場所”を設置することで、
そこの利用者が行き帰り周辺の店舗で買い物をすることで、
商店街全体の利益に貢献する、ということも考えられます。

個々の商店の競争だけに頼っていては、商店街は衰退していく一方です。
そのため、商店街全体のことが考えることができる人や組織が必要となっています。

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