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地域衰退の原因になる‟漏れバケツ理論”とその対策とは?地域内経済循環を高めて地域再生をしよう!

ちゃぼけん

‟漏れバケツ理論”って聞いたことありますか?

地域衰退の原因のひとつにこの‟漏れバケツ理論”があります!

昨今の日本では少子高齢化や人口減少によって、
多くの地方自治体や地域が衰退しており、
今や「消滅可能性都市」「消滅可能性自治体」
という言葉が出てくるほどです。

特に地方都市の地域経済は危機的状況であり、
企業や人口の東京一極集中がさらにこの状況に拍車をかけています。

今回は「地方衰退の原因である‟漏れバケツ理論“とはいったい何なのか?」
そして「どうやったら地域経済の衰退を防ぐことができるのか?」
について解説していきます。

「漏れバケツ理論」とは?

「漏れバケツ理論」は
イギリスのシンクタンクであるNew Economics Foundation(NEF)
が提唱した概念です。

この理論は、
地域が観光などで地域外のお金を稼いでも、そのお金を外で消費してしまうと、
穴の空いたバケツに懸命に水を注いでいるようなもので、
地域経済は一向に成長しないという考え方です。

地域外からいくら稼いだところで、漏れバケツに水を懸命に注いでいるようなもので、
地域はいっこうに豊かにはなりません。

外部に依存しすぎてしまった日本の地方都市では、
このような漏れバケツ状態の自治体が大半を占めており、
漏れバケツ状態であることから地域が衰退しているのです。

漏れバケツ理論の具体例

具体例を挙げて、も少し詳しく「漏れバケツ理論」について説明します。

A町の住民は、
生活必需品の8割を地元商店で地元産のものを買うと仮定します(残りは地域外資本やインターネット販売)。
そうすると、
消費額1万円のうち8000円が地元商店に残ります(残り2000円は町外に流出)。
さらに、仕入れや給料に回った8000円のうち同じく8割が地元の商店で消費されると6400円が地元に残ります。
これをゼロになるまで繰り返すと、約5万円が地域内で消費されることになります。

一方、B町の住民は地元で2割と地域外8割だとすると、
地域内消費額は約2万円に留まり、
A町に比べて約3万円分が地域外に漏れることになります。

実際に、人口約2600人のとある自治体では、
地域内の消費はわずか3割だけであり、7割が地域外に流出しており、
年間約5億円が漏れ出てしまっています。

日本の地方都市の実態はこのような自治体ばかりなのです。

漏れバケツ理論の問題点

すなわち、
地域内で消費されるお金の割合が高いほど、
地域経済にとっては有益になります。

反対に、
地域内で消費されるお金の割合が低ければ、
地域経済は大きな打撃を受けることになるのです。

漏れバケツ状態にある貧しい地域は、
この‟漏れバケツ”を直さない限りはどんな支援を行たっところで
ずっと貧しい地域のままです。

これまでの地域活性化策では、企業誘致や観光などで、
「外からいかに稼ぐか」が注力されており、
地域内のお金がどのよう使われているか」にはあまり着目されてきませんでした。

しかし、これが地域経済にとってとても大きな意味を持っているのです。

多くの人はバケツにより多くの水を入れようと必死に頑張りますが、
それよりもバケツの漏れを無くすほうがはるかに重要なのです。

このように外部に依存しすぎてしまうと、
地域経済が次第に衰退していき、弱りきってしまうのです。

大手企業に依存し吸い取られる地方のお金

地方都市は今、危機的状況にあります

駅前にある商店街はシャッター通りと化し、
百貨店やスーパーなどの商業施設は軒並み撤退をし、
工場や事業所なども次々となくなっていっています。

ひと昔前までは多く人で賑わっていた地方のまちが
今ではひと気が無くとても閑散としています。

この原因はいろいろありますが、
その主なものにこの‟漏れバケツ理論”があるのです。

なぜならばいくらお金を稼いでも、
地域内でお金を回すことができれなれば、
稼いだお金がどんどんと地域外へ出て行ってしまうからです。

これでは地域経済が衰退していくのは当然です。

行政は補助金を出して工場や店舗を誘致していたり、
観光客を増やそうと必死に頑張っていますが、
地域からお金が出て行ってしまう‟漏れバケツ”状態では、
どれだけ頑張ってもほとんど意味はありません。

そして、実はこのことに気がついていない人がとても多いのです。

今や地方都市では
全国チェーンのコンビニやスーパー、ドラッグストア、ショッピングモールなどの
商業施設を当たり前に目にするようになりました。

反対に個人が経営する店舗は次々に閉店していき、
多くの個人商店で賑わっていた商店街もシャッターばかりとなっています。

全国チェーン店では、
売り上げの一部をロイヤリティとして
主に東京にある本部へお金を支払う必要があります。

アメリカで行われた調査によると、
個人店での収入の40~70%は地域に残る一方で、
全国チェーンの店では13.6%しか地域に残らなかったという結果になりました。

このようにして地域で稼いだお金が
どんどんと東京などの大都市に吸い取られていく仕組みになっているのです。

これはまさに‟東京に搾取されている地方”です。

大手企業はスケールメリットを活かすことができる分、
商品やサービスの価格を低くすることができます。

しかし、
安いからといって安易に大手企業の商品やサービスに依存してしまうと、
地域経済はどんどんと縮小していってしまう
のです。

漏れバケツ理論を防ぐ方法

漏れバケツ理論は、地域内での消費を促進し、
地域経済の循環(地域内経済循環)を高めることの重要性を強調しています。

地域内経済循環を高めるためには、
どこに漏れ穴があるのかを見つけて、それを防ぐ作業が必要になります。

この地域内経済循環を高めるためには以下のような方法があります。

地域内経済循環を高める方法
  1. 地域のお金の流れを分析し、漏れを見つける
  2. 地域貢献度の高い店をつくる
  3. 地域内消費を促進させる
  4. 地域コミュニティを強化させる

以下より詳しく説明してきます。

お金の流れを分析し、漏れを見つける

まず最初にすべきことは地域のお金の流れを分析し、
漏れがどこにあるのか見つける必要があります。

では、どうやって分析をするのか?

この地域ではどの分野で儲けていて、
どの分野では外部に多く依存しているのかを把握することが重要です。

分析をすることで自分たちが住んでいる地域は、
農業で儲けているのか、それとも林業なのか、
はたまた製造業やサービス業なのか。

そういった地域全体の特徴を整理し、地域の強みと弱みを理解します。

地域の強みと弱みを理解するためには、
RESAS(地域経済分析システム)」がとても便利です。

これらを分析をすることで
具体的にどの分野に漏れがあるのかがわかるようになります。

この弱点となっている分野を積極的に支援することによって、
地域内経済循環を高めることができます。

また、分析を行ううえでは、
「各家庭がどこでどのような消費をしているのか?」も重要になります。

これによって「どのくらい家庭内消費が外部に依存しているのか」
が把握できるようになります。

地域貢献度の高い店をつくる

たとえ繫盛している店が地域内にあったとしても、
仕入れのほとんどが地域外だったり、本社に売上が吸い上げられていたら、
地域経済に貢献している度合いはとても低いです。

逆に、地元から多くを仕入れたり、
雇用を多く生む店なら地域経済への貢献度は高くなります

たとえば、
パン屋が外部で作ったパンを販売しているだけでは、
地域にほとんどお金は入りませんが、
原料の生産から製造販売まで地域内で行っていたら、
それぞれで地域内で売り上げが上がることになります。

こういった地域貢献度の高い地産地消のお店を増やすことが、
地域活性化や地域再生のためには重要になります。

観光においてもこのような地域に根差したホテルや旅館、レストラン、カフェなどが、
地域経済を回していくためには大切なのです。

地域内消費を促進させる

先ほども述べましたが、
東京などの大都市に本社構えている大手企業やチェーン店ばかりに、
地域の消費が依存していると、地域内経済循環がどんどんと低下していきます。

コスト効率だけを優先して仕入れや買い物を続けていると、
お金を地域から漏れ出し、地域の資源が失われるのです。

地域のお店や企業がなくなれば、ますます地域外に頼らざるを得なくなり、
さらにお金は地域外へ漏れ出てしまい、地域の力は失われていきます。

これが多くの地方の現状なのです。

このことを多くの人が理解して上で、
地域経済を回していくために、
外部に依存しない消費行動が必要になってきます。

地域コミュニティを強化させる

「地域コミュニティと地域経済に何の関係があるのか?」
と思われる方もいると思いますが、
「地域内での人間関係やつながりが深まることで、
地元産の食材や商品を購入する意向が高まり、
結果として地域経済の活性化につながる」
という研究結果があります。

また、地域内の友人の数別に地産地消の意向を調べた調査では、
「できるだけ地域産の食材を購入する」
「買い物や飲食はできるだけ地域の商店、地元資本のお店でするようにしている」

の回答率は地域内に友人がいない人と比べて、
20人以上いる人は倍以上のスコアになっています。

この調査に結果より、
地域内の人間関係が豊かな人は、
地元の商店や農業の方とのつながりもあり、
その結果として、地域内での消費につながると言えます。

地域内でのつながりを深め、顔の見える消費を増やすことが、
地域外への経済の漏れを少しでも防ぐことにつながるのです。

地域貢献のために私たちができること

地域経済の話になるとスケールの大きなものと感じてしまい、
「自分には何もすることができない!」と思いがちになります。

しかし、地域の経済のために、私たちができることはたくさんあります

地元への貢献度の高い地元資本や地産地消をお店を利用したり応援をする、
地元産の農作物を積極的に消費する、
地域内の人間関係を豊かにする。

これらの行動が地域内経済循環を高めることにつながり、
その結果、地域の衰退を防ぐことにつながります。

それはただ単に企業を誘致したり、観光客を呼び込んだりするよりも、
はるかに地域にとって効果のあるものになります。

そのためには私たちひとりひとりの意識と行動が重要になるのです。

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