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“モータリゼーション”が社会にもたらすデメリットとは?車優先社会でまちは不便になる!

戦後、日本社会で急速に浸透したものの代表といえば、「自動車」です。

そして、マイカーが普及していくにつれて、
車優先社会となる「モータリゼーション」が進展していきました。

モータリゼーションは社会に大きな影響を与え、
人々の行動範囲は広がり、宅配便が急速に発展していき、
自動車は私たちの生活になくてはならないものとなっていきました。

しかし、近年はモータリゼーションによってもたらされる悪影響が、
世界中で大きな社会問題となっています。

ちゃぼけん

モータリゼーションによって、
‟便利になるはずのまち”が、
‟どんどんと不便になっている”になっているのです・・・

モータリゼーションによって、私たちが失ったとは何でしょうか?
モータリゼーションは、どうしてまちを不便してしまうのでしょうか?

これらの問題を解消するために、私たちは何ができるのでしょうか?

今回はこれらに関して解説していきます!

モータリゼーションとは何か?

そもそも、モータリゼーションとは何でしょうか?

モータリゼーションとは、
「車産業の発展に伴い、自動車が大衆に広く普及し、自動車を利用することが一般化した状態」を指します。

車社会化した現代は、自動車は生活必需品となり、
それは単なる移動手段だけではなく、
ファッションの一部としても流行し、
社会に広く浸透してきました。

自動車で通勤したり、
週末にはドライブや買い物、デートを楽しんだり・・・

「一家に一台」であった自動車は、「一人に一台」となり、
日本の社会はクルマがないと成り立たない
というほど浸透していったのです。

そして、このモータリゼーションによって、
私たちの生活や、都市の構造は大きく変わっていってしまったのです。

では、どのようにして、
モータリゼーションが進展していったのでしょうか?

モータリゼーションの進展

戦後、1960年代に入ると、
自動車の大量生産が始まり、
こうした工業生産に勢いがつくことで日本経済も豊かになりました。

その後も日本では自家用車が大量に生産・所有され、
1966年には国内に230万台程度しか登録されていなかった乗用車は、
1980年には10倍の2,300万台、
2014年にはなんと6,000万台を突破しています。

自動車保有台数の推移(一般社団法人 自動車検査登録情報協会)

より快適で便利な社会を目指して、
日本では国をあげて「一家に一台マイカーを」というモットーを掲げ、
道路は拡張、アスファルト化され、
まちじゅうに駐車場が建設されていきました。

これにより、
「個人による交通手段の所有化」が進み、
まさに「モータリゼーションの到来」となりました。

モータリゼーションは、人口流入にともなう都市の郊外化と相まって、
日本の社会を席巻していきました。

モータリゼーションによって引き起こされる様々な問題

こうした急激なモータリゼーションによって、
市民は自由で快適、かつ高速の移動手段を手に入れました。

そして、モータリゼーションによって、
都市の発展や基盤整備には大きな変革の圧力が発生しました。

例えば道路交通網は、
モータリゼーションの発生により急速な進歩が求められ、
都市部は急激に拡大、郊外化するとともに、
周辺の衛星都市や都市間を結ぶ道路網の発達も加速さました。

その一方で引き起こされた当時の交通問題は、現在と本質的に変わりません。

渋滞、大気汚染、騒音、事故、都市空間の浪費と消失、
これまでの経済・商業基盤と住環境の破壊
などです。

さらには、まちなかはアスファルトの道路に覆われ、
空き地がどんどんと駐車場になっていき、
人や自転車は道の端に追いやられるスタイルが定着していきました。

モータリゼーションで失われるもの

わずか10~20年の短期間に、
一気に国中に広まったモータリゼーションによって、
破壊されたもの、失われたものについて考察してみようと思います。

生活に関する影響

私たちの生活に関するものとしては、主に以下の5つが挙げられます。
いずれも現代においてとても重要な課題となっており、
早期の解決が求められているものばかりです。

モータリゼーションによってもたらされる‟生活への影響”
  1. 交通事故の急増
  2. 環境汚染の深刻化
  3. 市民の運動不足
  4. 買い物難民の発生
  5. 高齢者の運転事故

①交通事故の急増

モータリゼーションが進展して、クルマの数は増えていくと、
当然ながら、交通事故の数は増えていきます

警視庁の発表によると、
交通事故発生件数は、1948年では2万件ほどでしたが、
その後、数は急激に続け、1970年前後で70万件を超えていました

交通事故件数の推移

現在、交通事故はピークに比べるとかなり減少していますが、
それでも2020年には30万件以上の交通事故が発生しており、
残念ながら毎年3,000人近くが亡くなっています。

②環境汚染の深刻化

自動車の排気ガスには、
地球温暖化の原因となる温室効果ガスのひとつである、
CO2(二酸化炭素)が大量に含まれています

その他のも排気ガスに含まれる多くの化学物質は、
人間や生物に害のある物質に大気中で変化し、
酸性雨や光化学スモッグなどの大気汚染を引き起こしてきました。
大気汚染は人体だけでなく、森林や農業などにも悪影響を及ぼし、
自然環境も脅かしています。

自動車の排気ガスによる環境問題とは?

③市民の運動不足

自動車の普及によって、現代人は歩く機会を少なくしてきました。
車利用者の6割以上は運動不足になっている、と言われています。

車通勤をして、仕事の大半はデスクワークだと、
1日に1,000歩も歩かない、そんな方は多いのではないでしょうか?

特に地方は、公共交通機関が発達していないこともあり、
都会よりも車の依存度が高く、運動不足が深刻化しています。

運動不足によって、生活習慣病や鬱などの精神疾患などのリスクが高まります。
さらに、日常の運動不足は、老化の進行を早くし、
高齢者は特に寝たきりや要介護のリスクも高くなります。

自動車保有台数と糖尿病患者数の推移

④買い物難民の発生

自動車依存の社会とつくってしまうと、
自動車を運転できない人にとっては、とても不便な社会となってしまいます。

特に高齢者の場合は、
車も運転できない、遠くへ出歩くこともできないとなると、
日常の買い物に行くことさえも一苦労となります。

中には、自力で食料品や日用品の買い物をすることができない、
‟買い物難民”‟買い物弱者”がたくさん存在します。

高齢化も相まって買い物難民は年々増え続けており、
今や高齢者の4人に1人は買い物難民となっています。

⑤高齢者の運転事故

近年、高齢者による運転事故も深刻です。

交通事故の発生件数はピーク時より減少していますが、
高齢ドライバーによる事故の割合は増加傾向にあり、
死亡事故全体に占める高齢ドライバーの事故の割合も増加中です。

年齢を重ねるにつれて運動機能が衰えていくので、
本来高齢になってくると運転することを控えることは望ましいですが、
車依存の社会が出来上がってしまっているため、
運転をしたくなくても、運転せざるを得ない状況の人が多いようです。

70歳以上の運転免許保有者は,年々増加し続け,令和元年は1,195万人と,
昭和50年の13万人の90倍弱,
昭和61年の80万人の15倍弱となり,運転免許保有者の14.5%を占めています。

高齢ドライバーの交通事故は増加中?高齢者による事故を減らす方法|三井住友海上

まちに関する影響

モータリゼーションは、まちに対しても大きな影響を与えています。

モータリゼーションによって、まちから失われたものは、
主に以下の6つになります。

モータリゼーションによってもたらされる‟まちへの影響”
  1. 都市空間の喪失
  2. 居住空間の喪失
  3. 遊び場の喪失
  4. 歩行者の移動の自由の喪失
  5. 社会福祉的な機能の壊滅
  6. 公共交通の衰退

①都市空間の喪失

モータリゼーションがもっとも強力に破壊したものの一つに、
都市空間が挙げられます。

マイカーは、都市空間を大量消費する交通機関」です。

ウィーン工科大学のヘルマン・クノーフラッハー教授によると、
人間が移動する際、徒歩であればおよそ0.95㎡/人(4km/h移動時)、
公共交通やタクシーの場合は4.1㎡/人(30km/h移動時)
の都市空間を消費します。
しかし、マイカーは、人間1人を移動させるのに最低でも10.7㎡(駐停車時)、
極端な場合は199.0㎡/人(50km/h走行時)以上を消費してしまいます。

このマイカーによる都市空間の消費が、
まちの経済に対して壊滅的な影響を与えています。

なぜなら、
車のために道路を拡張し、駐車場を整備することによって、
商業施設が集積する中心市街地で、
移動人口密度の極端な低下が引き起こされるためです。

商店街などでは、店舗前を通過する人の密度が低下し、
収益の低下、地価の低下、立地の魅力の低下をもたらします。

これに対抗できる商業施設は、
道路インフラを税金で整備させ、
巨大な駐車場を準備できる郊外の大型店のみ、なのです。

②居住空間の喪失

モータリゼーションが始まるまでは、
狭い面積に大勢が居住し、高い人口密度を確保することで、
ある一定レベルの豊かな暮らしを営むことが可能でした。

というよりも、
マイカーという交通手段を持たなかった市民は、
肩を寄せ合うことで、
近隣の高い生活サービスを享受していた、ということです。

しかし、モータリゼーションが国中を席巻すると、
住宅地にも拡幅・舗装された道路が必要となりました。
そして世帯数を超える台数の駐車場を整備しなければならなくなりました。

これは、居住エリアにおける大幅な人口密度の低下を意味し、
同時に子どもの遊び場は剥奪され、
人々が利用してきた「道・路地」という社会福祉的な空間も喪失しました。

モータリゼーション後は、
道路という「公共・社会福祉機能の場」が、
‟移動のためだけの場所”と変貌してしまいました。

この居住エリアにおける人口密度の低下という現象は、
モータリゼーションの完了から10~20年後に起こった、
少子高齢化、核家族化という社会現象とあいまって、
従来型の近隣商業施設を破壊し、
同時にカネを地域内で回すことで維持されていた地域経済の弱体化を招いたのです。

③遊び場の喪失

モータリゼーションが始める1955年から完了した1975年の20年間に、
子どもが屋外で活動できる空間は、都市部において1/100に減少しました
(『子どもが道草できるまちづくり』)。

社会学者バルドー・ブリンケルト教授によると、
子どもの発育にとってもっとも重要な活動空間は、
①家や庭の車庫、②家の前の道路、③近所の公園の順である、と結論づけている。

現在の都市においては、
①の「庭や車庫」を十分に確保することは難しく
とりわけ②の「家の前の道路」についてはほとんど破壊されてしまった。

モータリゼーション以前は、
都市計画や政治、行政がまったく無策であっても、
子どもの活動空間は「道」で自然に生まれていたが、
モータリゼーション以後は、
優れた都市計画や緑地計画などの政策が施さなければ、
子どもの活動空間は存在しないに等しい、という綱渡りの状態が続いている。

④歩行者の移動の自由が奪われる

道路は‟強力な壁”になりました。

これまでのように人々は、
道を自由に横断し、立ち止まり、移動することが叶わなくなりました。

この壁の高さは、その道路における車の交通量とスピードに比例します。

幹線道路では、
壁の高さが高すぎて向こう側へ移動することはままならず、
信号や横断歩道という壁の抜け穴だけが唯一横断できる場所となりました。

この道路という壁では、
日本では1972年に5600人の歩行者が殺され、
2015年でも1500人を超える歩行者が犠牲になっています。

しかし、
子どもを含むこれほど多くの人々が犠牲になっているにもかかわらず、
この道路という壁については社会的な関心が集まりません

こうして車は移動の自由を謳歌する一方で、
歩行者は道路という壁に囲まれ、
出口のない監獄に閉じ込まれれるようになりました。

⑤社会福祉的な機能の壊滅

人と人が出会う、社会福祉的な機能を持つ「道」という空間は
見事なまでに破壊されました。

とりわけ、
自宅前にマイカーを駐車するようになった結果、
移動の際に、人は家から車へと閉じ込められた空間のみを移動し目的地に運ばれます。

人と人が移動の途中で出会う可能性は排除され、
買い物先、職場など、
同じ時間に同じ行動を営む、
同じ社会層の人々の間でしか交流は行われなくなりました

モータリゼーションは静寂な生活空間、清潔な大気だけではなく、
こうした人間の生活の営みにとって非常に大切なもの
たくさん奪い去ってしまいました。

その代償に、人は自由な移動手段を入れた、ということなのです。

⑥公共交通の衰退

自動車依存のまちがつくられると、
人々は公共交通をあまり使わなくなります

そして、鉄道やバスの利用者がどんどんと減っていき、
赤字続きで事業が継続できない業者が撤退したり、
一部の路線が廃線になっていきます。

こうなってしまっては、
自動車を運転できない子どもたちや高齢者にとって、
大変不便な状況です。

特に地方都市や大都市の郊外は、自動車への依存度が非常に高いため、
公共交通の衰退は顕著となり、
近年でも多くの鉄道やバスの路線が無くなっています

このようにして、自動車によって便利になるはずのまちが、
どんどんと不便になり、
人口減少が加速していく事態となっているのです。

車依存から脱却し、‟歩きやすいまち”を目指そう!

これまで見てきたように、
自動車によって人々の生活が便利になった面がある一方で、
急速なモータリゼーションによって、失われてしまったものがたくさんあります。

そうしたなか、
世界中で行き過ぎたモータリゼーションを是正する動きが活発化しています。

日本ではまだそれほど積極的な動きはありませんが、
歩行者に優しいまち、いわゆる‟ウォーカブルなまち”をつくろうとする動きが、
全国各地で少しずつ見えてきました。

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