あなたは「まちづくり」と聞くと
莫大なお金をかけたり、大規模な工事が必要だと考えていますか?
いいえ、そんなことはありません!
小さな団体や、たとえ個人だとしても、「まちづくり」は始められます。
それは小さなスペースにただ「ベンチを置く」だけでもいいのです!
「何をしたらいいかわからない!」そんな方は、まずは「ベンチを置く」ことから始めてみませんか?
- 地域を元気にしたいけど、何から始めていいかわからない方
- 自分にできることから地域に貢献したいと思っている方
- 自分が知っている美しい景色をたくさんの人に知ってほしいと思っている方
- まちの景色を眺めながらゆっくりとくつろぐ場所をつくりたい方
- まちなかに大切な人とじっくり語らい合う場所がほしいと思っている方
目次
ベンチがあるまちは「人に優しいまち」
あなたは今日、まちの中でベンチをいくつ見かけますか?
公園で見かけることはあっても、歩道にはほとんど見かけないのでないでしょうか?
日本のまちは、歩いていてもとにかく座る場所が見つからない。
ひと休みしたくても、水を飲みたくても、本を読みたくても、地図を広げたくても、メールを確認したくても、電話をかけたくても、少しの間待ち合わせをしたくても、腰を掛けるところがないのです!
日本は「おもてなし」の国と言われていますが、ベンチひとつ見つけることができないまちに、あなたは「おもてなし」の精神を感じることができますか?
今後のまちづくりにおいて、重要なのは「あらゆる人に優しいまち」かどうかです。
それは、子ども、高齢者、体が不自由な人、おなかが大きな女性、そして観光客にも優しい、ということです。
そして、「人に優しいまち」かどうかを表す一つの指標としてあるのが「ベンチ」なのです。
以前紹介したスローシティ。
そのスローシティの条件として大切なものが、なんと「まちなかにベンチがあるかどうか」なんです!
そのため、まちなかには観光客がやってくる場所だけではなく、地元の人だけが暮らすところにもベンチが必要なんです。
しかし日本では、都心に限らず、田舎のまちでも、「ただの一か所も腰を掛ける場がない」なんてことはよくあります。
郊外の住宅地では、離れた大型スーパーまで、ベビーカーを押すママさんやカートを押すおばあさんが、車の排ガスを浴びながら黙々と歩く様子をよく見かけます。
炎天下のアスファルトの照り返しを受けながら、日陰もなければ、ベンチもないバス停で老人たちが待たされています。
そんなまちにあなたは住みたいと思うでしょうか?
あまり気づかれていないかもしれませんが、日本のまちにはもっともっとベンチが必要なのです。
そして、それは誰でも簡単にできることです。
無料で過ごせる場所がなくなってきている!?
あなたはまちなかでひと休みしたいとき、どこを利用しますか?
喫茶店、ファストフード店、ネットカフェ、コンビニ、ファミレス・・・
いずれにしても、どこかのお店でお金を払って休憩していませんか?
私も同じようなことをよく経験します。
歩いていて少し疲れたからちょっとだけ休憩したくても、まちなかに座れる場所がどこにもない!
カフェに入ると最低でも300~400円くらいはかかってしまいます。ほんの10分くらい休憩したいだけなのに・・・
今、日本のどこにいても、ひと休みしようにもお金を払わなければなりません。
そう、まちなかにいると無料で「自分の居場所」を見つけることはほとんどできません!
たまたま近くに公園があり、木陰で休めるベンチがあればラッキーぐらいではないでしょうか?
よく考えると、これってかなり窮屈で息苦しいことですよね。
「ここにあなたの居場所はない」と言われているような、“まち”に拒まれているような虚しい気持ちになります。
まちなかを歩いていると「こんなところにベンチがあったらなー」と思うことはよくあります。
ベンチがあるかないかでそのまちの居心地の良さが大きく変わるのです。
ベンチがまちや人を活性化させる!
では、まちなかにベンチがあるとどのような効果があるのでしょうか?
具体的には以下のようなものが考えられます。
人々の滞在時間が増える
ベンチは、無料で最も小さなインフラです。
当然ながら、ベンチがあることで、まちにおける滞在時間が長くなります。
そして、人が行き交うまちに居る時間が長くなることは、様々な二次的効果への繋がっていきます。
人々の歩行距離が増える
ベンチは休憩すること以上に、ゆっくりと考える時間を与えてくれます。
それは人々の次の行動に大きく影響し、何よりも、人々はより長い距離を歩くようになります。
健康度・幸福度が上がる
まちに滞在する時間が増えるということは、人と人がであう確率が高くなり、人々の会話量が増えます。
さりげない日常のコミュニケーションの増加は、真の健康的状態そして幸福度を向上させていきます。
まちに経済効果が生れる
まちに居る時間が長くなり、行動範囲が広がることは、そのエリアにおける消費へと直結します。
よりお金が落ちていくということは、より人の賑わいのある風景がそこに生まれ、人をさらに呼び込むことになります。
ベンチを置くことは、特定の誰のためではありません。
そのまちに暮らす人、外からやってきた人、身体が弱っている人、そうでもない人、お年寄りから子どもたち、ひとりでぼんやりする人、親子連れ、恋人同士・・・
自分を含めたすべての人の日常に、ほんの少しの、だが確実な、豊かさへのきっかけをつくることなのです。
ただ「ベンチを置く」だけ
たったそれだけで、そのまち、そのエリアでの人々の滞在時間が増え、まちの経済にも影響するのです。
まだまだあるベンチの優れた効果!
当然のことながら、ベンチは座るためにあり、ゆっくりと腰を掛けて休憩することができます。しかし、まちなかにベンチを設置することは、ただ歩行者が休憩するためだけではありません。
ベンチは「まちの風景を眺める場所」である
あなたの住んでいる近くに、ゆっくり風景を眺める場所はありますか。
「自分たちの住んでいるまちが綺麗だ」とじっくり眺めることはしてないのではないでしょうか。
ベンチは、ゆっくりと地元を眺め直す機会を作ってくれます。
様々な人がそのまちを眺められること。特別な日に観察するのではなく、日常的に目に入ってくるような形で。
いいこともそうでないことも見つけられる、ちょっとしたきっかけが大事です。そんなことが叶えられるものは、ベンチしかありません。
ベンチは「小さな交流の場」である
毎日、腰を掛ける愛着のあるベンチは、小さな交流の場となります。
人と人との交流機会が増えることによって、コミュニティの醸成や防災防犯、さらには人々の健康といった医療福祉の問題にまで、その効果は波及します。
たかがベンチ、されどベンチ。なんと万能なやつなんでしょうか。
ベンチは「ウェルカム」のメッセージ
まちを歩きながら、ふとベンチに出会うだけで、何かホッとするものがあるのは何故でしょう。
知り合いひとりいないまちででも、そういったベンチがひとつあるだけで、自分が受け入れられている感覚に包まれます。
ベンチがある風景それ自体が、「そこに自分が存在してもいい」と言われているような、許容された感覚を抱かせてくれます。
逆の見方をすると、ベンチをひとの目につく、気の利いたところに設置することがすなわち、「あなたを受け入れていますよ」というメッセージを代弁することにもなるのです。
ベンチに秘められた最も優れた効果
ベンチの機能について語るとき「座る」ことばかりに気をとられがちですが、実はそれに留まらず、「座る」ことを起点とした、計り知れない様々な効果があります。
それは・・・人々のアクティビティを活性化させる効果です。
目的地に向かう人が、その間に設置されたベンチを利用するようになると、ベンチに座りながら今日は別の場所に寄ってみようか、とか、ベンチの前にあるコーヒー屋で一服していこう、とか、いろんなことを思いつきます。
ベンチで寛ぐ僅かなブレイクタイムが、その人のまちの中での行動をより能動的なものへと促進させるのです。
ひとりひとりに対しての効果だけでも絶大だというのに、複数の人を想定すると、さらにその効果は複雑に膨らんでいきます。
人と人とが対峙する頻度や密度が高まれば当然、声をかけたり、会話をしたりとかが増えていきます。
そこから生まれていく出来事も増えていく。
まちの活性化とは、そもそもそういうことではなのです。
派手なイベントをすることばかりが、真のまちの活性化ではありません。
また「景色がきれいな海辺に置かれたベンチ」というだけでも、人の心は動きます。
「そこに行こう!」と思ってもらえれば行動が生れ、行った先で得られた体験から、食事や宿泊といった次のアクティビティへの広がりが検討できます。
具体的にはベンチに座っている人がこのようなことを考えるかもしれません。
- 思い出づくりに写真に残したいな
- おいしい食事を楽しみながら、この景色を堪能したいな
- 日向ぼっこしながらお昼寝でもしたいな
- コーヒーでも飲みながら、読書するのもいいな
- 音楽を流しながら、のんびりしたいな
- 友人を呼んでバーベキューがしたいな
- ここで夜空でも眺めたいな
それは、「ベンチを置く」という最小単位のアクティビティから始まったこのまちづくりに、次の展開が期待されるというわけです。
屋台やキッチンカーをはじめとする飲食店を設置するのはもちろん、ベンチだけでなくバーベキューやキャンプができる設備、ハンモックやテント、さらには写真サービスや宿泊施設まで、アクティビティを実現するものとしては、様々な広がりが生れます。
それらのアクティビティを単独ではなく、有機的につなげていくことによって、地域としての価値がより高くなっていきます。
もちろんそこには、人の希望が反映されており、経済活動に結びつくようなポテンシャルがあるわけです。
ベンチを置くことは、最も簡単にできる「まちづくり」
まちづくりでは「リスクの少ないことから少しずつ始める」ことが鉄則です。
そのなかで最初の一歩として「空いているスペースにベンチを置く」というのは非常に有効です。
例えば、商店街の中にベンチを置き、買い物の合間に休憩しながら、おしゃべりをする。
海が見える空きスペースにベンチを置き、そこに座って自然や景観を楽しむ。
ただそれだけでいいのです。
会話や交流、景観を楽しめるベンチがあるだけで、そこに人が集まる可能性があります。こうしたことから人の行き来が生れ、そこからまちづくりがスタートしていくことになるのです。
従来のマスタープランにはじまる大規模なまちづくりと比較すると、非常に簡単でハードルも低く、リスクも小さいです。
それでいて少しずつとはいえ、非常に高い確率で成長していけるため、将来性があり、可能性が大きく広がることも期待されます。
ベンチを増やすことは、道路を建設する費用よりはるかに安い費用でできるはずです。
「モノ消費からコト消費へ」といわれて久しい昨今。
各地域にある強みを活かし、適切にアクティビティができるものを配置するだけで、まちづくりの成功確度を高めていくことができます。
そのきっかけは「ベンチを置くこと」だけでいいのです。
あなたは、自分が住んでいるまちで本当に「やりたいこと」をできていますか?
↓↓↓やりたいことを実現させる具体的な方法は以下↓↓↓