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まちの個性を楽しむ!地方が目指すべきは、“暮らしの質”を重視した「スローシティ」!

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戦後の日本では、住宅やオフィスを増やすためにどんどんとまちを拡大してきました。

しかし、現代は人口減少、少子高齢化社会となっており、住宅やオフィスは余剰となっており、日本各地には空き家や空き地が大量に発生し、社会問題となっています。

このような人口減少、少子高齢化社会の中で日本のまちはどこへ向かっていくべきなのでしょうか?

特に地方において、どんどんと若者が離れていき、活気を失いつつあります。

今はまさに時代の転換期!

そんなときに必要となってくるのは「スローシティ」という考え方です。

時代にあった持続可能なまちをつくっていきましょう!

そもそも「スローシティ」とは何か?

スローシティは、
「1999年にイタリアで生まれた5万人以下の小さな町のネットワーク」として生まれました。

2022年6月現在で世界33カ国287都市、日本では気仙沼市と前橋市・赤城地域が加盟しています。(スローシティ国際連盟)

「暮らしの質を守る」ことを目的として、「人間サイズの、人間らしい暮らしのリズムが残るまちづくりを心がけよう」というスローガンの下、発足しました。

スローシティは、1980年代イタリア発祥の「スローフード」の精神をまちづくりに適用したものです。

当時、グローバル化の波に乗り、マクドナルドをはじめとしたファストフード店がまちの中に進出をしてきました。

「このままでは、地元市民の伝統的なライフスタイルや文化が破壊されてしまう」

と考えたイタリア人たちが伝統食や独自文化を守る、スローフード運動を興し、いまでは欧州諸国に広がっています。

食の均質化のみならず、町の姿や暮らしまでも均質化していく現代。

まちのアイデンティティの守るために、スローフードの哲学を、食文化だけでなく、生活の質を守ることやまちづくりにダイナミックにつなげていくこと、それこそが「スローシティ」の考え方です。

この考えが今、日本の地方都市において、とても重要になっています!

日本のまちは、同じような風景ばかりになってしまった

外国人が日本に訪れた際、最も驚くことがあります!

それは…

変わり映えのない日本のまちの風景です。

都会は高層ビルばかりで、郊外は同じ家ばかり。

店もチェーン店ばかりで、まちの中は看板、電線であふれている。

「ジャポニズムの美意識はどこにいってしまったのか?」とガッカリ…

戦後復興で懸命に走ってきて、気がつけば、町が奇妙な均一化を遂げていた。
その結果、国道沿い、駅前や住宅地は、どこもよく似た『同じ風景』になりました。

人口を集中させた先にどうなまちの未来を描いているのか、と不思議に思うほどです。

効率性を追求する大量生産と大量消費のあり方が、まちの風景までも均質化させてきたのならば、そろそろ、この大人げない均質化への迎合に抗い、日々の充足感を問うべきではないでしょうか。

スローシティが目指すのは「人が幸福に暮らす場」

日本を覆っていく閉塞感の一つに、やはりこの「生活空間の均質化」があるように思います。

郊外型の巨大なショッピングセンター、世界中同じような映画ばかり上映するシネコン、画一的な住宅街、駅前や国道沿いに並ぶチェーン店…

このような均質的な『つまらない』まちなみから抜け出すためには、まちのアイデンティティを大切にしなければなりません。

スローシティの概念は、まさにこの「まちのアイデンティティを大切にする」ことであり、それは「住民の生活の質の高さ」に直結するものです。

また、それはまちなかで「いかに暮らすか」を考え、理想のライフスタイルを追求していくことで、「人間らしい生活」を実現させていくことにほかなりません。

今後は「量から質」への転換が必要!

果たして、まちの人口が増えることはいいことなのでしょうか?

日本全体で人口が減少していく中、
まちどうしで「人口の奪い合い」をすることに果たしてどれだけの意味があるのでしょうか?

これまで発展といえば、道路や大型店舗を増やしたり、宅地化を進めて住民を増やすことばかり考えてきました。

しかし、そんなことが本当にまちの住人を幸せにしてきたのでしょうか?

人口減少下で空き家や空き地が増加していっている中、まちの肥大化を防ぐ必要があります。

まちを肥大化させることは、働く場もなく、人が集まるような中心もない、福祉もなく、農業のようなものづくりさえ失われた、ただ眠りにだけ帰るような場所を増やしていくことになりかねません。

そんな「暮らしの質」と「アイデンティティ」を失ったまちでは、人は年を取りにくいです。

また、乱開発はまちの景観を破壊します。
そして破壊されたまちの「アイデンティティ」は簡単に元にも戻りません。

これまでの加速と無限の進化を理想とした社会モデルが、美しい町々を破壊してきました。そして出来上がったまちは、グローバル社会ではなんら評価されない残念なまち

今重要なのはまちの個性を打ち出し、より一層差別化していくことなのです。

今あるものに目を向けよう!

スローシティを目指すには、今そのまちにあるものに目を向ける必要があります。

都会と比べて「ないもの」ばかり探すのはやめて、澄んだ空気やおいしい水、美しい森、旬の農作物、うまい郷土料理、珍しい在来種、職人、歴史、温かい人間関係といった足元の宝に、そのまちの住民自身が気付く必要があるのです。

そして、今ここにあるものの価値を最大限に引き出すことを考えます。

それはまさに、「ないものねだりから、あるもの探し」です。

①そこにしかない食文化、ものづくりを大切にしよう!

スローシティには、ライフタイルに関わる衣食住において、そのまちのオリジナルが持つ深みを取り戻すこと大切にしています。

例えば「食」は、ただの栄養補給ではありません

それは文化であり、環境であり、美意識であり、生命そのものです。

私たちの命を根底から支える「食」というものの真価を忘れかけた人々に、その価値をもう一度伝え、人類の生き延びる道を模索する最良の手段を考えることが、「スローフード」であり「スローシティ」の精神なのです。

そして「食」に限らず、グローバル化の中でますます貴重な、地域の風土に根差した「ものづくり」を守ることが大切なのです。

それは、世界中でそのまちにしかつくれないものなのですから…

②暮らしのリズムを大切にしよう!

さらに、スローシティは、季節の移ろい、太陽や山や川などの自然と深く結びついた暮らしのリズムを大切にしています。

それは、食だけでなく、衣も住も、子どもの遊びにも五感を取り戻そうとする試みです。

現代人は、簡単・便利といいながら、五感の喜びから自らを疎外しているところがあります。

スローシティは、衣食住にスローな哲学を貫くことで、人々のスローな感性を養うことを大事しているのです。

人間は自らの手で自然をつくることはできません。そのため、日々の暮らしの中で周りの自然を育て、壊さないように知恵を絞ることが大切なのです。

③文化が感じられるまちを目指そう!

若者たちがそのまちに居つくために大切なのは、医療や教育以上に、文化的刺激が大切だと言われています。それは芸能であり、音楽であり、食です。

そのまちの文化に触れることは、そのまちのものづくりや自然と触れ合うことであり、それが地元の誇りと郷土愛に繋がります。

住民が地元に誇りを持てるようになって、はじめてそのまちは持続可能な発展ができるようになります。

そのためには、まずは住民の意識が変わること、そして少しずつ住民を巻き込みながら意識を共有していくことが重要です。

「こんなまちは、世界にただひとつしかない」

そういった住民の想いが、そのまちを育てていくことになるのです。

豊かな森、澄んだ海、歴史、入り組んだ路地、寺社仏閣や祠の神様、人情の温かさは、何百年も変わらないまちの姿とともにあるのです。

④人と人との交流の場を大切にする!

人が生きている上で必要なものは何でしょうか。

仕事や家、車、テレビを手に入れたからといって、人はそれだけでは決して生きていけません。

魚にとって水が必要なように、人が生きていくうえで根源的に必要なもの・・・

それは住環境であり、そこに文化的なものが息づいていることが大切です。

そのために必要なのは「交流の場」です。

人はひとりではいきていけません。人とのつながりが大切であり、そのために「まち」があると言っても過言ではないのです。

そう、スローシティは、まちの構造や建築だけの問題ではありません。

むしろまちを活かすために大切なのは、目に見えないものの価値にあります。

特に人と人とのつながり、交流、会話、そういったものは、人々の生活の質を変え、満ち足りた時間を保証してくれるものになります。

⑤まちの顔は、「多種多様な個人店」である!

個人店は、まちの顔であり、まちの個性であり、まちの歴史そのものです。

素朴な町並みに、粋な蕎麦屋、風情ある酒屋、香高い味噌屋・醬油屋、旬が味わえる八百屋、小洒落た工芸品店、老舗の菓子屋、気の利いたカフェ、美味しいレストラン、小さなワインバーなど…

専門性が高い店は質の良いものが多く、地元に密着している店は安心して商品を買うことができます。
また地産地消の店は、旬の美味しいものが味わえ、地域の経済を回すことにも寄与することができます。

そのまちに観光に来た者のとっては、個人店は「楽しく学べる地域の情報ステーション」にもなります。

しかし、そういったまちも、大型ショッピングセンターによって、まちの風景をがらりと変えられてしまいます
大型ショッピングセンターの進出によって、地元の個人店が潰れてしまうことがよくあるからです。

まちのアイデンティティを守るためには、地産地消の店や、地元に密着した店や専門性の高い店などの地域の食文化やものづくりを支えている個人店を地域の人々が応援する必要があります。

⑥みんなで地域の経済を回そう!

一次産業に携わる、まちの生産者は厳しい状況に置かれています。

特に農業は大変な状況にあり、現在日本の農家世帯を占める割合は3~4%と低い状況だと言われています。
その多くが、安値競争で十分な収入を得られていない苦境に追いやられているのです。

その解決策はできれだけ地元の食材を食べることです。食材を選ぶ範囲が狭ければ狭いほどいい。

一般家庭だけでなく、個人店、学校や病院、企業も巻き込んで、まちぐるみで生産者との距離を縮めることが大切で、それは小さなまちほど容易にできることなのです。

地元の農産物、工芸品、名物の加工品を守るには、まず住民みんなが、その価値をよく理解したうえで盛り上げていくことが大切です。

そして、反対に地域すべての生産活動が、住民の暮らしを脅かすようであってはならず、また自然や景観を損なうようなものであってはなりません。

そのまちの風景を生んだ「ものづくり」を顧みないことは、町の経済そのものを脅かしかねないのです。

⑦歩いて楽しめるまちを目指そう!

スローシティが目指すところは、「誰もが住みやすいまち」です。

まちなかに車道が張り巡らさせ、大量の自動車が行き交い、騒音と排気ガスにまみれたまちは、子どもが育つ環境としてはとても理想的とは言えません
さらに排ガスが充満する狭い道路での一番の被害者は、ベビーカーに乗った幼い子どもたちなのです。

そのため、スローシティでは、「歩いて楽しめるまち」かどうかが重要とされています。
それが人と人との交流に満ち、高齢者ものんびり暮らせて、子どもも安心して遊べるまちであるからです。

車の排ガスや騒音から解放されて、澄んだ空気を吸い、ゆっくりと散歩しながら食事や買い物を楽しめる。たったそれだけのことが、現代人を惹きつけるということを、もっと真剣に考えるべきなのです。

そのほうが人間ずっと幸せで、環境へのインパクトも少なく、体にもよい
さらに「歩いて楽しめるまち」はまちなかに点在する個人店にもよい影響を与えることができます。

⑧「暮らしの質」から「観光の質」へ

ゆっくり泊まって、朝夕にゆっくり散歩でもできたらどんなにいいか、と思う自然豊かな場所に限って宿泊施設がないなんてことありませんか?

スローシティの観光は、観光史跡を駆け足でめぐり、あれもこれも詰め込んで、何だか疲れる忙しい旅ではありません。

最低でも2~3日は滞在して、のんびりまちの良さを味わい、また行きたくなるスローな旅なのです。
地域全体を楽しんでもらうことが主たる目的であり、登山、トレッキング、釣りなどの体験メニューなどがあるのも特徴です。

地元でしか味わえない食の旅、自然を満喫する旅がスローシティの観光の醍醐味です。

何もしない真の意味での休暇を満喫できるまち、スローな週末の小旅行ができるまち、そういったものが重要視されています。

それは、まちの歴史、芸術、食文化、職人、祭りといった文化を掘り下げながら、まちを本当に豊かにする新しい観光であり、本物志向の五感を楽しませる新しい観光なのです。

地方から新しい社会モデルをつくり上げていく!

「このままでは、町は顔を失い、どこでもない場所になっていく」
そういた危機感から始まったスローシティの運動

効率性と利益ばかり追求する大量生産や消費のあり方が、
環境問題を考えても、持続可能でないことはいまや目に見えています。

そのために、
地域の経済を守る新しい進化のモデルを創造していくことが大切であり、
生物多様性と持続性を兼ね備えた新しい進化への社会モデルが必要となれています。

あなたは、自分が住んでいるまちで本当に「やりたいこと」をできていますか?

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