事業型NPOとは、すなわち‟稼ぐNPO”です。
NPOというと、ボランティアとかチャリティーとか、
「無償で活動する」というようなイメージが強いかもしれません。
しかし、今この‟稼ぐNPO”である事業型NPOが注目されていて、
このような「事業型のNPOが社会を変える」とも言われています。
事業型NPOとはどのようなものなのか?
今回はそんな事業型NPOについて詳しく解説してきます。
目次
事業型NPOとは?
他のNPOとの違い
事業型NPOとは、
「社会や地域の課題を事業(ビジネス)活動によって解決するNPO」のことです。
事業(ビジネス)で得た収益で組織を運営していくところが、
寄付や助成金で運営をしているNPOとは大きく違います。
最近の事業型NPOは、
非営利性を強調した「Non-Profit Organization」ではなく、
利益だけを追求する組織ではないという意味を込めて、
「Not for Profit Organization」を使うケースも増えています。
事業型NPOの特徴
事業型NPOは、
「社会や地域の課題を事業(ビジネス)活動によって解決する組織」であるがゆえに、
その特徴には、次のような点が挙げられます。
- 事業活動によって、必要な資金調達を行う。
- 企業や地方公共団体とのコラボレーションを意識する。
- 有給職員を雇用している。
- 顧客志向であり、マーケティングなどのビジネス手法を取り入れている。
- ミッションを達成するための活動が収入に直結する。
これらの特徴が他の一般的なNPOとは違います。
寄付金や助成金に頼って運営をしているNPOは、
寄付金や助成金が途絶えてしまうと、運営困難になってしまいます。
しかし、事業型NPOは通常の企業の同様に、
事業がうまくいっている限り運営を続けることができるため、
安定的な組織運営が可能となります。
事業型NPOはベンチャー企業に似ている!
「NPOは儲けていけない」って本当!?
NPOに関するよくある間違いに、
「NPOは収入を得てはいけない」、
あるいは「会計上の利潤を毎期常にゼロでなければならない」
といった点があります。
確かにNPOは「利益を関係者に分配(配当)すること」はできません。
そこが一般的な企業とは大きく異なるところです。
しかし、事業(ビジネス)によって収入を得たり、
スタッフに給料を払ったり、
今後の活動費に充てたりすること、それ自体はなんの問題もありません。
NPOも組織である以上、組織運営のためにコストが掛かることは、
一般の企業と変わりません。
例えば、事業の実施には、「事業費」が必要ですし、
「スタッフの給料手当」「光熱水費」「通信費」「印刷製本費」などの
各種管理費も必要になります。
事業(ビジネス)で得た収益を、
今後の活動費として活用したり、組織の規模を大きくする、
つまりは組織の運営や維持に活用することは、
社会をより良くしていくこととして、むしろ歓迎されていることなのです!
事業型NPOに必要なこと
事業型NPOを設立したり運営したりするには、たくさんことが必要になります。
事業型NPOは、
事業(ビジネス)を通じて自らのミッションを達成するNPOであるが故に、
ベンチャー企業の立ち上げと同様に、
綿密なビジネスプランの作成が必要であり、
マーケティング力や企画力などが求められます。
さらに、ソーシャル・アントレプレナーシップ(社会的起業家精神)にもとづく高い志も必要であり、
長期・継続的に社会的事業を担っていくための組織マネジメント力も要求されます。
NPOビジネスとは?
事業型NPOが行うNPOビジネスにはどんなものがあるのでしょうか?
NPOビジネスの例
ここでNPOビジネスにはどんなものがあるのか、その一例を紹介したいと思います。
- 村おこし・町おこしに活躍するNPO
- 少子化時代を迎えて、子育て支援に活躍するNPO
- 指定管理者の指定されたスポーツNPO
- 図書館の指定管理者に指定されたNPO
事業型NPOが行う「コミュニティビジネス」
既述したように、事業型NPOとは、
「さまざまな社会的課題を事業(ビジネス)活動を通じて解決するNPO」です。
また、事業(ビジネス)活動と通じて地域課題を解決するものに、
「コミュニティビジネス」があります。
コミュニティビジネスとは、
独自事業によって収入を確保することによって活動の自立性を確保し(事業性)、
一定の地域を対象に活動を行い(地域性)、
事業内容・目的として利益の確保だけでなく地域社会の課題解決を掲げ(革新性)、
地域住民などの市民セクターが資本・運営上の主導権を確保し(市民性)、
収益の一部を地域に還元したり事業展開が地域の雇用拡大につながるなど、
実際に地域の課題解決に貢献していることが明確である事業
コミュニティビジネスは、
‟地域コミュニティを元気にする”という社会性・公益性のあるミッションを持っています。
コミュニティビジネスを行う主体は、
個人や任意法人あるいは株式会社などの営利法人であってもよいですが、
NPO法人の形態を採って事業を展開する場合も多いです。
そのため、事業型NPOが行うビジネスは、
コミュニティビジネスは、かなりの部分で共通することが多いのです。
今、事業型NPOが社会に求められている!
NPOは、社会的にニーズの高い事業を低廉なコストで提供できる、
優れたビジネスモデル(事業の仕組み)を構築して事業活動を行うことが求めらます。
その場合、低廉なコストが、
ボランティア精神にもとづくスタッフの低い給料に
依存したものであってはいけません。
NPOであるからスタッフの賃金は低くても仕方がないというのは、
‟NPOの甘え”であると私は思います。
しかし、こうした組織が多いのも事実なのです。
あくまでも、優れたビジネスモデルの構築によって低廉なコストと売上増を実現し、
結果として余剰金を生み出すことが必要です。
そして、その余剰金は、NPOの社会的使命に再投資する。
こうした事業型NPOの増加は、社会的にも大変好ましいことだと思います。
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