日本の未来を担う子どもたちに何が起きているのでしょうか?
子どもの貧困問題は当事者の子どもたちだけの問題ではなく、
日本全体にとって大きな問題なのです。
子どもの貧困が抱える問題、
子どもの貧困が増える原因、
子どもの貧困をなくすためにできること
このようなことを今回は解説してきます!
目次
子どもの貧困が格差を生んでいる
今、子どもの貧困が様々な格差を生んでいます。
先進国であるはずの日本で、
貧困に悩む子どもの数が近年、社会問題化しています。
子どもの9人に1人が貧困状態
厚生労働省の発表によると、
18歳未満の相対的貧困率は11.5%であり、およそ9人に1人が貧困状態、
またひとり親世帯に限ると44.5%が貧困状態といわれています。
一日の中で栄養バランスのとれた食事が食べられるのは学校の給食のみ、
経済的な理由で進学を諦めるなど、
生活環境や教育の機会などに大きな格差が生まれています。
子どもの食事問題
さらに貧困世帯を大きく悩ませているのが、子どもの食事問題です。
特に給食がなくなる長期休み、子どもの食事の用意が負担となり、
「夏休みを撤廃して欲しい」
「親自身の食事を減らして子どもに食べさせる」
などの声が上がるほど、貧困問題が深刻化しています。
児童虐待、不登校も過去最多!
他にも、こども家庭庁の報告によると、
児童虐待相談対応件数が過去最多を更新、
不登校の子供の数も毎年のように過去最多を更新し続けています。
子ども家庭庁|「令和4年度 児童相談所における児童虐待相談対応件数」
NHK|「不登校過去最多 こども家庭庁 専門の支援員を自治体に配置へ」
はたして、
日本の子どもたちの未来はこのままで大丈夫なんでしょうか?
日本の貧困レベルはどのくらい?
今の日本で「貧困状態にある子どもがたくさんいる」
と感じている人は少ないと思います。
昔と今、そして、世界と日本の子どもの貧困、
いったいどこが違うのでしょうか?
そもそも貧困とは?
貧困には「絶対的貧困」と「相対的貧困」があります。
絶対的貧困とは?
多くの人が「貧困」と聞くと真っ先にイメージするのが、
この絶対的貧困だと思います。
絶対的貧困とは、
「国や地域の生活レベルに限らず生きる上で困難な生活レベルの状態」を指します。
例えば、
- 住む家がない
- 着る服がボロボロ
- 食べ物がろくになくて餓死寸前・・・
こういった絶対的貧困は日本ではだいぶ少なくなってきています。
相対的貧困とは?
一方、相対的貧困とは「生活水準で比較すると大多数よりも貧しい状態」を指します。
日本では親1人子1人世帯で月額約14万円以下(公的給付含む)の所得の方を相対的貧困世帯としており、約9人に1人が相対的貧困の状態にあります。
すなわち、格差が広がれば広がるほどこの相対的貧困の数は増えることになります。
1クラスに3人が相対的貧困
9人に1人が相対的貧困であるということは、
1クラス30人だとすると、クラスに3人は‟相対的貧困状態”であるといえます。
相対的貧困は平均的な所得の半分以下の状態であり、これは格差の問題です。
世間の一般的な子どもたちと比べると、
非常に経済的に恵まれていない状態に置かれている子どもたちです。
相対的貧困の子どもたちも
十分に食べられてるかといえば決してそうではありませんし、
栄養状態も必ずしも良くないわけです。
また格差があることによって
子どもたちの発達や将来の就職先など
長期的にも影響が出るということがわかっています。
なぜ子どもの貧困が増え続けるのか?
どうして子どもの貧困が増え続けるのでしょうか?
子どもの貧困は実態の把握が難しい
子どもの貧困が増える理由は、
親の収入による経済格差や離婚率の上昇など様々な理由が挙げられますが、
この問題を解決する上で一番のハードルとなっているのが、
「子どもの貧困の実態把握が難しい」ということです。
これは、日本人ならではの感情として、
「貧しい、お金に困っているということが周りに知られたら恥ずかしい」
という感情が実態の把握を遅らせているといわれています。
日本では社会保障制度などの公的支援がある程度整っており、
行政からお金や支援がそれなりに受けられるようにはなっています。
しかし、
「公的支援を受けることが申し訳ない」
「周りに知られるのが恥ずかしい」という理由で、
本来であれば支援を受けるべき人たちが
支援を受けれらていないという状態になっています。
経済的に貧しい状況を人に知られたくないという親が多いということで、
子どもの貧困の実態把握がとても遅れており、
「貧困状態にある子どもは実際にはもっとたくさんいるのではないか」
という指摘がされています。
長期休みでさらに広がる格差
子どもの貧困による格差は、
実は夏休みなどの長期休みでさらに深刻化しています。
長期休みになるとご飯抜きの子どもが増える!
ある調査によると、
学校給食のない長期休み期間に食事の回数を減らす
ひとり親家庭が増加しているとのことです。
ひとり親家庭の子どもの1日の標準的な食事回数は、
学校給食のある期間は1回が0.4%、2回は12.3%、3回が85.5%であるのに対し、
夏休みなど学校給食がない期間で1回が6.9%、2回が36.0%、3回が55.3%であり、
半数近くが1日に2回以下しかご飯を食べていない状況、とのことです。
認定NPO法人グッドネーバーズ・ジャパン|「ひとり親家庭の子どもの長期休み期間中における食事状況に関するアンケート」
今、ネットをはじめ、
普段よりも生活にお金がかかってしまうことや、
母親のストレスから‟長期休み不要論”が話題になっています。
学校があるほうが子どもが友達と遊べたり、
勉強ができたり、給食があったりするため、
親の負担が少なくなるということなのです。
長期休みでの体験格差
長期の休みが貧困家庭にとって問題なのは食事の問題でも明らかですが、
それだけに留まりません。
平均的な家庭だと長期休みの間に
習い事をしたり、塾に通ったり、旅行に行ったりといった体験の機会になるので、
長期の休みは決して悪いことではありません。
しかし、貧しい家庭の子ども、特にひとり親家庭では、
そういった体験が一切できなくて、ただ家にいるだけになってしまいがちです。
今の世の中は何かと物騒になっていまい、
休みの日に子どもたちだけで家の外で遊ばせる、
ということもなかなかできません。
そしてこのような体験格差から、
休み明けになると学力や運動能力の差が一気に開いてしまう、という問題があります。
子どもの貧困をなくすために私たちができることとは?
このような子どもの貧困問題を解消するために、
私たち大人ができることはなんでしょうか?
子どもの貧困について知る
まずは私たちひとりひとりが子どもの貧困についてしっかりと知る必要があります。
先ほども述べたように、
日本における子どもの貧困問題が表面化しにくく、
支援が受けるべき子どもが支援を受けられない状況にあります。
あなたの周りに今も苦しんでいる子どもたちが必ずいるのです。
そういったことを知ることが、貧困問題解決の第一歩になります。
支援団体に寄付をする
貧困家庭を支援している団体へ寄付をする、というのも一つの手段です。
有名なところでは、
「セーブ・ザ・チルドレン」や「認定NPO法人フローレンス」などがあります。
セーブ・ザ・チルドレンとは?
子ども支援活動を行う、民間・非営利の国際組織であり、1919年に創設された。日本では、1986年にセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが設立され、国内外で、行政や地域社会と連携し、子どもたちとともに活動を行っている。
認定NPO法人フローレンスとは?
赤ちゃんの遺棄・虐待死、こどもの貧困、障害児家庭支援、病児保育、孤育てなどの社会課題の解決に事業と政策提言で取り組む、国内最大規模の認定NPO法人。
それぞれ月1,500円程度から寄付が可能となっています。
一度、それぞれの団体のホームページを見てみてください!
子ども食堂をつくる、応援する
今、子ども食堂が全国で拡大しており、その数は過去最多となっています。
子ども食堂は子ども世帯を地域や人と繋ぐ架け橋のような存在になっています。
子ども食堂とはいったいどういったものなのでしょうか?
子ども食堂ってどんな場所?
子ども食堂は2016年の設立以降毎年増加しており、
現在は全国に9,132カ所(公立中学校とほぼ同数)もあります。
これは公立中学校とほぼ同じ数です!
主にNPO法人など民間団体が運営しており、
地域の子どもたちに格安で食事を提供しています。
近年では子ども食堂を運営したり寄付している人がどんどんと増えています。
子ども食堂の意外なメリット
子ども食堂はご飯を食べるだけでなく、いろんな人の居場所になっています。
地域に子ども食堂をつくるのには、以下のようなメリットもあります。
- 子どもたちの居場所になる
- 親が地域とつながれる
- ボランティアのやりがいにもなる
子ども食堂は子どもだけでなく、
お母さんや子ども食堂で働くボランティアを結ぶ大切な居場所になっています。
子どもたちの居場所になる
子ども食堂は子どもの居場所になり、成長の場にもなっています。
子どもたちが皿洗いや配膳などのお手伝いをしたり、
いろんな‟お母さんたち”と触れ合うことができます。
時には褒められ、時には叱られ、
そんな関係が子どもたちを成長させてくれるのです。
親と地域がつながれる
子ども食堂で働く‟地域のお母さんたち”は母親の大変さをよく理解しています。
地域には誰かの手を借りたいというお母さんがいっぱいいます。
そういうお母さんたちがが子ども食堂に来てつながっていき、
悩みを相談し合ったり、アドバイスをもらったり、
雑談をしながら笑いあったりしているのです。
地域の大人たちや、上級生のお兄ちゃんお姉ちゃんたちが子どもの面倒を見てくれ、
お母さんたちが一息つく時間を提供してくれたりもします。
ボランティアのやりがいにもなる
子ども食堂の運営スタッフはボランティアがほとんどです。
ボランティアスタッフとして働いている人からは、
「楽しい」「ストレス発散ができる」「やりがいがある」との言葉がよく挙がります。
子どもたちの笑顔を見たり、喜ぶ声を聴けることが、
かけがえのないものになっているのです。
「子どもから‟美味しい”という言葉を聞けるのが最高」
「いつも食事を提供できる日を楽しみにしている」
そう言って、ボランティアの人たちが集まっていてくれる、というのです。
子ども食堂では、
ボランティアでご飯を作っているおばちゃんたちも実に楽しそうなんです。
ここではただご飯を提供するだけではなく、
地域の子どもたちの成長もみることができます。
それはやはり、とてつもない「やりがい」や「生きがい」となります。
子ども食堂の運営で気をつけるべきこと
子ども食堂では、運営費や材料費はどうしているのでしょうか?
一般的には子ども食堂を運営するにあたり、補助金や助成金が支給されます。
しかし、補助金の額は十分に運営できるほど潤沢にあるわけではありません。
そのため、寄付金を募ったり、
食事を提供する際に少額ではありますがお金をいただきながら
運営しているところもあります。
例えば、ある子ども食堂では、値段をオープンにして設定しています。
大人が700円、高校生が500円、中学生が300円、小学生が200円という具合です。
なぜこのようなことをしているのかと言うと、
「タダで食事を食べるのは抵抗のある人が多く、なかなか来てもらえないから」
とのことです。
先ほど述べたように、
「貧しいことを人に知られることが嫌だ」という考えが
子どもの貧困を見えにくくしている、という話がありました。
このようにあえて値段設定をすることで、
いろんな子どもが集まってくることができ、
またお母さんなど大人も
遠慮なく子どもたちと一緒に食事をすることができるようになります。
テイクアウトにも対応し、
仕事終わりのお母さんたちも気軽に立ち寄りやすく
大人気となっている子ども食堂もあります。
子育てや仕事などで「今日はご飯を作るのは嫌だな」と思ったときは、
気軽に子ども食堂を利用することができるのです。
【さいごに】できることから一歩ずつ
意外なことかもしれませんが、
日本では「子どもの貧困」が問題となっています。
子どもの9人に1人が貧困状態にあります。
進学ができない、塾や習い事に通えない、遊びに行けない、ということに留まらず、
十分に食事をすることができない子も多く、
格差がどんどんと生まれていっています。
子どもの貧困はそれぞれの家庭だけの問題ではなく、
社会や地域で解決すべき問題なのです。
これは大変難しい問題ですが、
私たち大人ができることも必ずあります。
まずは子どもの貧困のことを知り、
近くにある子ども食堂を支援する、NPOなどの団体に協力するなど、
できることからひとつずつはじめてみましょう!
あなたは、自分が住んでいるまちで本当に「やりたいこと」をできていますか?
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今、日本では子どもの約9人に1人が貧困状態にあるといわれています。