「都会の人は冷たい!!!」
まちなかで困っている人がいても誰も声をかけず通り過ぎていく…
反対に、自分から知らない誰かに
助けを求めることは、都会であればとても勇気がいることです。
都会で暮らす人々の多くは他人にはほとんど興味がなく、
まちなかで人とすれ違ってもそれが友達や知り合いでなければ、
挨拶をすることさえほぼないでしょう。
それどころか今や、
「隣近所に誰が住んでいるのかすらわからない」
という人が大半となっています。
都会ではどうしてこのようなことが起きるのでしょうか?
都会には冷たい人ばかりが集まるのでしょうか?
それとも、都会に住むとみんな冷たい人になってしまうのでしょうか?
今回は「都会の人が他人に冷たい理由」について解説していきます。
目次
都会では孤独になりやすい
私は以前、友人からこんな話を聞いたことがあります。
田舎から大学進学とともに都会に出てきたある女の子。
その子は大きな荷物を抱えて、
これから自分が住むことになる寮を目指していたそうです。
しかし、都会の道はとても複雑で、どこに行っても同じような風景・・・
スマホの地図を片手に彷徨い歩き続けましたが、
目的の場所はなかなか見つけることができません。
ここはまちのど真ん中。
周りにはたくさんの人が行き交っています。
しかし、
忙しそうに足早に通り過ぎる人や
スマホをいじりながら歩いている人、
イヤホンで音楽を聴いていたり、
うつむきながら歩いている人ばかり・・・
彼女は結局、誰にもに話しかけることはできなかったといいます。
彼女は都会のまちをさまよい、
本来なら15分ほどの道のりを、2時間以上かけて到着しました。
彼女が住んでいた田舎のまちでは、
困った人がいたらすぐに誰かかしらが声をかけてきてくれます。
一方、都会の道をさまよい続けた彼女は、
周りの人と比べると明らかに浮いていますが、
話しかけてくる人は誰もいませんでした。
都会に暮らしていればこんなことは日常茶飯事、当たり前の出来事です。
しかし、
田舎から出てきたばかりの彼女にとってはとても衝撃的な出来事だったようで、
たった一日でとても孤独感を味わい、
「本当に都会の人は冷たいんだな」と感じたをいいます。
彼女のような経験でなくても、
「都会の人は冷たい」と感じたことは、あなたにもあるのではないでしょうか?
都会はたくさん人がいますが、孤独を感じることもまた多い場所なのです。
都会に人が冷たい理由
では、なぜ都会の人は他人に‟冷たい“のでしょうか?
実はその理由がちゃんとあります!
それは、「都会というまちの特徴」と「人間の脳の仕組み」が関係しています。
都会の3つの特徴
都会には大きく3つの特徴があります。
それは「人が多いこと」「空間が狭いこと」「多種多様な人間がいること」です。
これらの3つの要因が重なるとどうなるでしょうか?
そう、都会には「たくさんの情報」が集まってくるようになります。
まさにこの‟情報過多”な状態こそが、
都会の魅力でもあり、都会の欠点でもあるのです。
都会のメリットとしては以下のようなものがあります。
- 利便性が高い
- ビジネスが活発しており、仕事の機会が豊富にある
- 教育が充実している
- 芸術や文化が豊富にある
- 商業施設や医療施設の充実している
- 多様な人と交流ができる など
これらは都会にはたくさんの情報が集まってくるからこそのメリットです。
しかし反対に、都会に住むデメリットというのもあります。
都会は刺激が強すぎる!?
都会に住むことで、
私たちの心は‟過剰な情報“によって圧倒されてしまいます。
人間の脳は、個人差があるものの、
ある一定の量の情報しか処理することができません。
そのため、大量の情報が一気に流れ込んでくると過負担となり、
私たちの体は大変なストレスを感じ、
ひどい場合には病気になってしまうことさえあります。
このような精神的なストレスやプレッシャーに、
都会に住む多くの人々は悩まされているのです。
‟都会に住んでいる”というだけで、私たちは疲れてしまうのです!
心理学者のスタンレー・ミルグラムは、
「都会が生み出す刺激が累積すると、人間の幸福度に強い悪影響が生じる」
と主張しています。
都会に住むために必要なこと
都会に住む人は、
この情報過多な環境からの刺激を極力減らそうと、
さまざまな‟生存戦略”を無意識のうちに取るようになります。
この戦略は大きく以下の4種類に分けることができます。
- 刺激に費やす時間の量と質を減らす
- 重要度の低い情報を無視する
- 情報を発生させないようにする
- 他人の責任にする
それぞれについて見ていきましょう。
①刺激に費やす時間の量と質を減らす
1番目の方法は、「刺激に費やす時間の量と質を減らす」ことです。
これをよく表すのが、
都市部と農村部での日常的なやりとりのテンポの違いです。
都市では生活のペースが速くなります。
人が歩きスピードは速く、コミュニケーションも簡潔になります。
早足に歩くことで、
過負荷な情報を生じさせる他人や出来事を意識から遠ざけようとしているのです。
コミュニケーションも同様です。
たとえば、
都会と田舎の郵便局で切手を買う際の所要時間を測定した研究があります。
都会の郵便局では、客と局員のやりとりは極めて短時間で
コミュニケーションの質は低くなっている、と考えられます。
一方、田舎の小さな町の郵便局では、
天気の話から昨日のテレビの話まで、話題はどんどんと広がっていきます。
都会では、たとえこうした話題に興味があったとしても、話している暇はありません。
似たようなことで、
近所の人と会ったときは挨拶を交わす程度で、とくに踏み込んだ話をしない、
というのも都会の人の特徴といえるでしょう。
②重要度の低い情報を無視する
二番目は、「重要度の低い情報を無視する」です。
私たちは、都会で生じるあらゆる刺激を意識的にシャットアウトしています。
ただし当然ながらこの戦略は、
過負担から個人を守る一方で、大きな社会的コストにつながる可能性があります。
都会には多様な人間がいて、さまざまな出来事や状況が生じます。
たとえば、
「自分にとって重要度の低い種類の人を無視する」という戦略をとるとします。
30歳以上の人、
子ども、
タトゥーを入れている人、
背の低い人、
高齢者、
ベンツに乗っている人-。
もちろんどのような条件であれ、ひと目で相手を見分けなければいけません。
そのため、身体のサイズや皮膚の色、衣装などの視覚的な要素は、
効果的なフィルターになります。
「見た目で人を判断するな!」と
子どものときに教えられた人も多いかもしれませんが、
都会に住んでいると無意識に人を外見で判断しがちになります。
それはできるだけ自分と関係ないものを排除しようとする
都会で生きるための戦略なのです。
③情報を発生させないようにする
三番目は、「そもそも情報を発生させないようにしてしまう」ことです。
今日、あなたは電車に乗っていた時や、
まちなかですれ違った人の特徴を覚えているでしょうか?
都会に住む人は田舎に住む人に比べて、
今日であった人の名前や特徴をあまり覚えていない、
という研究結果があります。
これは不要な刺激を減らそうとしているのです。
それがたとえ満員電車ですぐ隣にいた人でさえも
他人の身なりや行動には関心を払わないのです。
他にも不要な社会的刺激を遮断するために、
「相手に関わる意思がない表情をする」といった方法もあります。
④他人の責任にする
4番目は、「他人の責任にする」です。
たとえば、都会の道端を困っている人がいても、
「自分には関係ない」「誰かが何とかしてくえるだろう」
と考えがちになります。
他にも、電車の乗っているときに、
高齢者や妊婦さんが立っていても誰も席を譲らない、
といったようなことが都会では起こりやすくなるのです。
また、歩いているときに人とぶつかったとき、
自分には非がないと思うようになります。
このように都会に住んでいると、人は責任を他人に転嫁するようになるのです。
都会では「他人に介入することはできない」
もし都会に足を踏み入れる度に、
大量の情報への対処策を意識的に選択しなければならないのだとしたら、
私たちはヘトヘトになってしまうでしょう。
しかし幸いに、その心配は不要です。
都会では、‟他者には介入しない”という規範があるからです。
都会では、他者に介入しない理由を求められたりはしません。
求められるのは、他者に介入する理由の方です。
この規範は極めて強力です。
たとえば、
今、あなたは電車に乗っているとします。
あなたは立っていて、目の前の座席に座っている他人がいます。
あなたは、その目の前の人に向かって、
席を譲ってもらうようを頼むことができますか?
これは実に勇気のいる行動です。
他社に介入しないという規範はとても強力で、
既に私たちの心に内面化されてしまっているために、
この規範を破ろうとすることは大きな苦痛を伴うのです。
都会は過負荷な刺激を生み出す装置であり、
都会に住む人はその刺激を減らすための適応戦略を採用し、
それが当然の規範と考えることで、この問題に対処しようとしているのです。
都会では自治会加入率が低い理由
都会では自治会加入率が低くなっています。
その理由のひとつは、今まで挙げてきたことと関係しています。
都会で働く人の多くがオフィスワーカーやサービス業に従事しています。
そして、自宅から時間をかけて職場に向かい仕事をする人がほとんどです。
彼らが最も関心のあることは、
仕事や趣味、家族や友人、自分の将来のことであり、
情報過多な環境にいる以上、
それ以外のことにはあまり関心を示さないのです。
赤の他人や地域のことには自然と意識が向かないのです。
そのため、都会で自治会の加入率をあげるためには、
地域のことにより関心も持ってもらえるような取り組みが重要となるのです。
さいごに
今回は都会の人が冷たい理由について解説してきました。
都会は情報に溢れ刺激が強すぎるため、
人は生きていくためにあえて自分の関心の薄いものに対しては
情報をシャットダウンするような行動をとってしまいます。
‟他人に冷たくなる”のは都会に暮らしている以上、
これは誰しも起こり得ることなのです。
だからこそ、情報とうまく付き合い、
少しでも自分の身の回りのことに意識を向けることが重要になります。
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『自分の価値を最大にする ハーバード心理学講義』大和書房、ブライアン・R・リトル著、児島修訳
実際、そんな言葉をよく聞きます!