私たちの生活は、教育、福祉、衛生、防犯などあらゆる面で、
公共サービスによって支えられており、
安全で快適な生活を送るうえで、
公共サービスはなくてはならないものになっています。
公共サービスをはじめとした「公益」は本来、
行政から市民へ提供されるものでした。
しかし、それは「行政システムがうまく機能していた時代」の話です。
今は、人口減少や少子高齢化の時代!
行政や市役所などの地方公共団体は、
財政のひっ迫や住民ニーズの多様化などにより、
行政だけで「公益」を担うことはほぼ不可能となっています。
そこで必要となってくるのが「新しい公益」という考え方です。
「新しい公益」とは何なのか?
行政に代わって、公共サービスを提供するのは誰なのか?
今回はそのようなことを解説していきます!
目次
「新しい公益」とは?
20世紀は、「行政が社会経済システムにおいて大きな役割を担った時代」でした。
「公益」においても、サービスの提供は行政によって一元的に供給されてきました。
しかし現在は、
行政だけで「公益」を担うことは非常に困難な状況にあります。
今、行政や地方公共団体を取り巻く環境は、
財政のひっ迫、地方分権の進展、
さらには少子高齢化、住民ニーズの高度化・多様化など、大きく変化しています。
こうした状況に対応するため、行政や地方公共団体は、
これまでの行政システムの再構築が、不可避な状態となっています。
なかでも、公共サービスの提供を一元的・画一的に提供するこれまでの手法から、
「新しい公益」の提供手法に移行すべく新たな取り組みが、求められています。
行政が「上からの公益」としてサービスを提供するのではなく、
現在は、行政、企業、NPOなど地域の多様なセクターが、
多元的に公益を提供する「新しい公益」の時代になっています。
その中でもNPOは「新しい公益」の中心的な担い手として、
今後ますまず大きな役割を果たすことが期待されます。
「新しい公益」が求められる背景
そもそも、どうして行政だけで「公益」の担うことが困難になっているのでしょうか?
今、「新しい公益」が求めれているのには、以下のような社会的な背景があります。
- 地方財政の悪化
- 地方分権の推進
- 公の施設の民間開放
- 地方公共団体とNPOとの協働の進展
①地方財政の悪化
市役所などの地方公共団体の財政は、
バブル崩壊以降の税収の減少、
公共事業の拡大、
高齢化に伴う社会保障費用の増大などを要因として、
1990年代後半以降、急速に悪化しました。
1990年度末の地方公共団体の債務残高が約67兆円であったのに対し、
2005年度末には約205兆円までに大幅に増大、
その財政的な制約は拡大を続けています。
一方、住民の価値観の高度化・多様化に伴い、
行政に対するニーズは非常に多様化し、かつ増大しています。
そのため、行政だけで公共サービスを担うことはもはや不可能であり、
新たな公共サービスの提供者として、NPOなどの活躍が期待されているのです。
②地方分権の推進
「地方分権一括法」が、1997年7月に成立し、2000年4月に施行されました。
この法律の狙いは、
地方公共団体が地域住民のニーズや地域の実情をより反映させながら、
きめ細やかな政策を推進することになり、
国から地方公共団体へ権限を委譲する「行政的分権」とともに、
地方公共団体から民間へ権限を委譲する、いわゆる「市民分権」を推進するものです。
真の地方分権は、
地域住民が新しい公益を推進するために自らが自律的・主体的に行動し、
地方公共団体と協働していくことで実現できます。
そして、その中心的な担い手がNPOなのです。
③公の施設の民間開放
2003年6月、地方自治法が改正され、‟指定管理者制度”が導入されました。
指定管理者制度の目的は、
多様化する住民ニーズに効果的かつ効率的に対応するため、
公の施設の管理に多様な主体の多様な能力を有効に活用することによって、
住民サービスの向上と、経費の縮減を図ることにあります。
地域コミュニティに力量のあるNPOが多数育ち、
そうしたNPOが、公の施設の管理運営を担うことは、
住民ニーズにもとづく創造性の高い施設の運営が可能となり、
結果として住民満足の向上につながるのです。
④地方公共団体とNPOとの協働の進展
地方公共団体は、
住民の価値観の多様化や地域課題の複雑化などにともなう
行政需要の増大に対応するため、
公共サービスの企画立案、実施、事業評価の各段階に住民の参加を促し、
住民とともにさまざまな地域課題を解決する、
いわゆる「住民との協働」を活発化させています。
地方公共団体における協働の本来の意義は、
住民自らが地域の課題や地域の新しいニーズを発見し、
それを提案・実施することによって、地域課題の解決力を高めることにあります。
NPOは、住民ニーズにもとづいて、
地方公共団体に対して政策提言や課題解決策の提案を行うことによって、
地方公共団体との連携を強めつつ、
自らも公共サービスを担える事業体として成長することが期待されています。
「新しい公益」ってどんなものがある?
ところで、
「新しい公益」にはどんなものがあるのでしょうか?
主に以下のものが挙げられます。
- 住民との協働
- 指定管理者制度
- 市場化テスト
- コミュニティビジネス
①住民との協働
現在、地方公共団体は、
「新しい公益」の提供手法に移行すべく「住民との協働」を活性化させています。
協働によって、住民の主体的な提案力や課題解決力が向上するとともに、
地域全体の公共を担う地域力も向上します。
協働とは、
それぞれ異なる考えや特性を持つ
「住民・事業者・行政」など地域の多様なセクターが、
共有する地域社会の将来ビジョンを達成するため、
互いにパートナーとして理解・尊重し合うことにより、
単独では達成できなかった共通の目的に向けて、
連携・協力して活動することをいいます。
②指定管理者制度
「新しい公益」のカタチには、先述した指定管理者制度もあります。
指定管理者制度は、地方公共団体と住民との協働(コラボレーション)の一形態です。
指定管理者制度によって、
地方公共団体は公の施設をさまざまな団体(指定管理者)に、
管理運営を委ねることが可能となりました。
③市場化テスト
市場化テストは、
公共サービスの提供について、官と民による競争入札を実施し、
価格とサービスの質の両面において、より優れた主体が公共サービスを担う制度です。
④コミュニティビジネス
コミュニティビジネスは、
介護や子育てあるいは地域商店街の活性化など
地域が抱えるさまざまな課題をビジネスチャンスと捉え、
地域住民が主体となってそれらの課題を解決する事業(ビジネス)活動のことです。
おわりに
本来行政が一括で担ってきた公共サービスですが、
地方財政の悪化、地方分権の推進、住民ニーズの高度化・多様化などを理由に、
行政だけで「公益」を担うことが大変困難になってきました。
そこで必要となってきたのが「新しい公益」です。
今、各地では「新しい公益」によってさまざまな取り組みが行われています。
その中でも中心的な役割として期待されているのがNPOです。
NPOは、地域活性化のためには欠かせない存在となっています。
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